「病気の王子」(The sick prince)- ギリシャ
昔々、ギリシャの広大な王国に、アレクシオス王という賢く優しい王がいました。
王には、王子ヒリアスという一人息子がいました。
ヒリアス王子は幼いころから健康で、父王のようにたくましく成長することを楽しみにしていました。
しかし、ある日、王子は突然、ひどく病気になってしまいました。
王国の最も優れた医者たちが集まり、あらゆる薬を試しましたが、王子の病気は治りませんでした。
日が経つごとに王子の顔色は青白く、力を失っていきました。
王は心配しきりで、王子を救うためにできることなら何でもしようと誓いました。
ある晩、王は王宮の庭園で一人考え込んでいると、突然、一人の老いた女性が現れました。
その女性は、長い白髪に深い皺のある顔をしており、まるで魔法使いのような雰囲気を漂わせていました。
彼女は王に向かって言いました。
「王様、私はあなたの王国に必要なものを持っています。
もしあなたが本当にお子様を救いたいのであれば、私の提案を聞いてください。
」
王は驚きましたが、すぐにその女性に耳を傾けました。
「何をすればよいのか?
」王は尋ねました。
女性は静かに答えました。
「あなたの王子は、病気の原因が心にあるのです。
彼が心から願い、誰かを本当に助けたいという純粋な気持ちを持つことができれば、彼の病は治るでしょう。
」
王はその言葉を理解できませんでしたが、女性は続けて言いました。
「王子に『最も困っている人を助けるために行動する』ように伝えなさい。
そうすれば、彼の病は治るでしょう。
」
翌日、王は王子にその言葉を伝えました。
王子は最初、信じることができませんでしたが、病気で苦しむ自分を何とか救いたいという気持ちから、心の中で決意を固めました。
「誰かを助けることができれば、私の病気は治るのだろうか?
」そう思いながら、王子は王国を巡り、困っている人びとを見つけては手を差し伸べることにしました。
王子は、飢えた子どもたちに食べ物を分け与え、病気の老人に薬を届け、困っている農民たちに助言を与えました。
王子は自分の体調が少しずつ良くなっていくことを感じました。
彼の心は次第に温かく、周囲の人びとを思いやる気持ちで満たされていったのです。
数日後、王子は完全に回復しました。
王のもとに戻った王子は、もうあの病気の症状は一切見られませんでした。
王は驚き、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
そして、王子に言いました。
「お前は本当に立派な王子だ。
人びとを助けることで、自分をも救うことができたのだ。
」
王子は微笑みながら答えました。
「父上、私は最も困っている人びとに手を差し伸べることで、自分自身を取り戻しました。
心からの思いやりが、私を救ったのだと思います。
」
それから、王子は王国で最も優れた治療法として、心の優しさと思いやりを広めました。
王国の人びとは、王子のように他者を思いやり、助け合うことが最も大切であると学びました。
そして、アレクシオス王子は、王国の中で最も愛され、尊敬される王となり、王国は平和で繁栄を迎えました。
おしまい。
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