「空の宮殿」(sky palace)- アラビア
昔々、アラビアの広大な砂漠の真ん中に、誰もが夢見るような宮殿が浮かんでいると語り継がれていました。
その宮殿は「空の宮殿」と呼ばれ、まるで空に浮かぶ星のように、昼も夜も輝いていました。
その美しい宮殿に住んでいるのは、天使のような姿をした王とその家族。
彼らは人びとを助け、平和をもたらすために、その地に住んでいたのです。
ある日、アラビアの砂漠を越えた旅人、ジャリールという青年が空の宮殿を目にしました。
彼は旅をしていたが、長い間、食べ物も水もなく、砂漠で困っていました。
そのとき、突然、目の前に輝く宮殿が現れ、彼の目を奪いました。
「これは、幻ではないのか?
」と驚きながらも、ジャリールはその宮殿へと向かいました。
歩き続けるうちに、彼は宮殿の大きな門にたどり着き、そこで優しい声が響きました。
「ようこそ、ジャリール。
あなたは空の宮殿にふさわしい者です。
」
ジャリールは驚いて振り向くと、そこに立っていたのは、美しい白い衣をまとった王女でした。
王女はにっこりと微笑み、「私はアリヤ。
空の宮殿の守護者です。
あなたがここにたどり着いたのは、あなたの心が純粋だからです。
」と言いました。
「でも、どうして僕がここに来られたのでしょうか?
」ジャリールは尋ねました。
アリヤは静かに答えました。
「この宮殿は、心に純粋な願いを持つ者だけが辿り着ける場所です。
あなたは、他の誰かを助けようとする思いやりの心を持ち続けてきたから、ここに来たのです。
」
ジャリールはその言葉に驚き、少し考えました。
彼はただ一人、砂漠を歩きながら、人びとのためにできることを考え続けていたからこそ、この宮殿に辿り着いたのだと気づきました。
アリヤはジャリールを宮殿の中へと案内しました。
宮殿の中には、数え切れないほどの美しい庭や、透き通るような水の池、そして金色の壁が輝いていました。
宮殿の中心には、王が座る大きな玉座があり、その周りには天使たちが静かに立っていました。
王は、アリヤとジャリールを温かく迎えました。
「よく来た、ジャリール。
君の心の中にある純粋な思いやりを、私たちは知っている。
だからこそ、君に試練を与えよう。
」
ジャリールは驚きましたが、王の言葉に耳を傾けました。
「君の願いは、何だろう?
」王は尋ねました。
ジャリールは答えました。
「私の願いは、すべての人びとが幸せに暮らし、争いがない世界を作りたいということです。
」
王は頷き、「その願いを叶えるためには、君の心の中にある力を引き出さねばならない。
しかし、その力を使うには、君が本当に他者を助けることに心から献身し、困難を乗り越える覚悟が必要だ」と言いました。
ジャリールは決して諦めず、王とアリヤの導きでさまざまな試練を乗り越えていきました。
その試練を通じて、彼は他者への思いやりと、心の強さを深く学びました。
そして、最後の試練で、ジャリールはついに空の宮殿の王にふさわしい力を授けられました。
王は満足そうに微笑み、「君の力を使って、人びとを助けなさい。
しかし、忘れてはならない。
力は自分のためではなく、他者を助けるために使わねばならない。
」と告げました。
ジャリールは王から授かった力を胸に、空の宮殿を後にし、再び砂漠の地へと戻りました。
彼は、村々を巡り、必要な者たちを助け、平和を広めるために尽力しました。
その後、ジャリールの名は伝説となり、空の宮殿の力が広がることで、アラビアの地は再び平和と繁栄に満ちることとなったのです。
そして、空の宮殿は今もなお、天空の上で輝き続け、純粋な心を持つ者たちを守り続けています。
おしまい。
シェア