「虎と貧乏な男」(The Tiger and the Poor Man)-カンボジア
昔々、カンボジアの静かな村に、貧乏な男が住んでいました。
彼の名前はポー。
ポーは毎日、一生懸命に働いていましたが、決してお金持ちにはなれませんでした。
それでも彼は、家族と一緒に幸せに暮らしていました。
ポーには大きな夢がありました。
それは、いつか村の人びとを助けることができるような立派な人になることでした。
ある日、ポーが村の森へ木を切りに行ったとき、予想もしない出来事が起こりました。
森の中を歩いていると、突然、猛然とした虎が現れました。
虎は大きな体をゆっくりと動かしながらポーに近づいてきました。
ポーは恐怖に震えながら、その場から動けませんでした。
「どうか助けてくれ!
」とポーは心の中で必死に祈りました。
しかし、虎は無言で近づいてきて、ついにポーの前に立ちました。
すると、驚くべきことに、虎は口を開きました。
「お前、そんなに怖がることはない。
私はお前を傷つけるつもりはない。
」
ポーは驚きました。
「え?
あなたは...話すことができるのですか?
」
虎は静かにうなずきました。
「私はこの森を守る者だ。
しかし、私はお前にひとつのお願いがある。
」
ポーは緊張しながらも、「お願いって、何ですか?
」と尋ねました。
虎はしばらく黙ってから言いました。
「実は、私には食べ物が足りなくて、ずっと空腹なんだ。
お前のように小さな人間に食べ物をもらうことができるのは、これが初めてだ。
もし、お前が私に少し食べ物をくれるなら、私はお前に恩返しをしよう。
」
ポーはその言葉を聞いて考えました。
虎が食べ物を求めているのなら、どうにかして助けてあげたいと思いましたが、自分自身も貧しく、食べ物が少ないことを思い出しました。
しかし、ポーは自分の心に従い、思い切って言いました。
「わかりました。
私の食べ物を少しだけお分けします。
」
ポーは自分が持っていた最後の一握りの米と少しの果物を虎に渡しました。
虎はそれを受け取ると、満足げにうなずきました。
「ありがとう、お前の優しさは忘れない。
」虎は言いました。
そして、虎はポーに言いました。
「明日、森に戻って来てくれ。
私が助けてあげることができるだろう。
」
その言葉を信じて、ポーは翌日、再び森へ向かいました。
すると、虎が待っていました。
虎はポーに大きな笑顔で言いました。
「お前に恩返しをしよう。
お前の家の近くの山にある宝物の場所を教えてあげる。
」
ポーは驚きました。
「本当に?
でも、私には宝物なんて必要ありません。
」
虎はしっかりと答えました。
「お前が困っているのを見て、私はその宝物を分け与えたいと思った。
お前が幸せで、村の人びとにも幸せが広がるように。
」
ポーはその後、虎に教えられた通りに山を登り、隠された宝物を見つけました。
それは金や宝石ではなく、豊かな土地と、美味しい果物の実る木々が植えられた土地でした。
ポーはその土地を手に入れると、村の人びとと分け合って、みんなで豊かに暮らすことができるようになりました。
ポーは自分が得た幸せを、虎のおかげだと思いました。
虎はその後、再び森の中で静かに暮らし、ポーの家族と村人たちを見守り続けました。
ポーはもう一度、虎に感謝の気持ちを伝えました。
「ありがとうございます、虎さん。
あなたのおかげで、私は本当の幸せを知ることができました。
」
それから、ポーはその優しさを忘れず、ずっと村の人びとを助ける立派な人物となり、幸せな日々を送りました。
おしまい。
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