Onedollar Wanderer

「誠実な労働者と強欲な地主」(Честный работник и жадный помещик)-ロシア

誠実な労働者と強欲な地主はロシアの物語です。

むかしむかし、広い野原の向こうに、

とても欲ばりな地主が住んでいました。

地主は村の畑も森も牛もみんな自分のものにしていて、

働く人たちには、ほんの少しのパンしか分けてくれませんでした。

その村に、イワンという若い労働者がいました。

イワンは貧しかったけれど、いつもまじめで、うそをつかない正直者でした。

「汗を流して働けば、きっと神さまは見てくださる」

それが彼の口ぐせでした。

ある日、地主がイワンを呼びつけて言いました。

「イワン、おまえの働きぶりは悪くない。だが、これからは私と分け前を決めよう。

 おまえは“地面の上のもの”を取り、私は“地面の下のもの”を取る。いいな?」

イワンは首をかしげましたが、正直にうなずきました。

「ええ、地主さま。約束は守ります。」

その年、イワンは畑いっぱいに小麦をまきました。

秋になると、小麦の穂が金色に輝きました。

地主はにんまりして、収穫の日を待ちました。

けれど、約束どおり、イワンは“地面の上”の小麦を取り、

地主には“地面の下”――つまり、ただの根っこを渡しました。

地主は怒りで顔を真っ赤にしました。

「ぬかったな……来年こそはわしの勝ちだ!

 次は、おまえが“地面の下”、わしが“地面の上”だ!」

イワンはにこりと笑いました。

「わかりました。約束です。」

次の年、イワンは何を植えたでしょう?

そう、じゃがいもです。

秋になり、地主はうれしそうに畑を見に来ました。

「ほう!葉っぱがたくさんあるではないか。これでわしの勝ちだ!」

ところが掘ってみると――

地面の上はただの枯れ葉。

地面の下には、丸々と太ったじゃがいもがごろごろ。

地主は口をあんぐり開けました。

「おのれイワンめ!おまえ、わしをだましたな!」

「いいえ、地主さま。わたしは約束を守りました。」

怒った地主は、ついに言いました。

「ならば、次はこうしよう。

 わしとおまえ、どちらが土地の主人にふさわしいか、

 王さまに決めてもらおうではないか!」

イワンは素直にうなずき、ふたりは都へ向かいました。

王さまの前で地主は大声で言いました。

「このイワンは、わしの土地をずるく使いました!

 わたしの損ばかり!どうか罰を!」

王さまはイワンにたずねました。

「おまえ、どうしてそんなことをしたのだ?」

イワンは静かに答えました。

「王さま。わたしは約束を守っただけです。

 地面の上のものを地主さまに、地面の下のものを自分に。

 その逆も、ちゃんとそのとおりに。」

王さまは少し考えて、それから笑いました。

「うむ、イワン。おまえは正直で、しかもかしこい。

 だが地主よ、おまえは欲ばかりで、心が貧しい。」

そう言って王さまは命じました。

「イワン、この土地をおまえに任せよう。

 これからは皆で分けあって暮らすのだ。」

地主は真っ青になり、しっぽを巻いて帰っていきました。

イワンは村の人たちと力を合わせ、

土地を耕し、みんなで収穫を分け合いました。

それ以来、その村では誰も飢えることがなくなったそうです。

そして人々は語りつぎました。

――「働き者の手は金よりも強い。

  誠実な心には、神さまが微笑む」と。

おしまい。