「踊り子と竜」(Dancer and Dragon)-スペイン
他言語版
昔々、スペインの小さな街に、イサベルという美しい踊り子がいました。
彼女の踊りは街じゅうの人々を魅了し、見る者の心を明るくしました。
ある日、街の外れに住む老人がイサベルにこう言いました。
「この街には、昔から恐ろしい竜がいると言われておる。
その竜は怒ると火を吹き、畑を焼き尽くすのじゃ。
」
「そんな恐ろしい竜がいるなんて…。
」イサベルは驚きましたが、街の人々を守るために何かできないかと考えました。
数日後、街の広場に突然、黒い影が現れました。
大きな翼を持つ竜が、山の奥からやってきたのです。
人々は悲鳴をあげ、家の中へ逃げ込みました。
竜は低い声で言いました。
「私はこの街を見守る者だ。
しかし、最近、人々は自然を大切にしなくなった。
川は汚れ、森の木々も減ってしまった。
もしこのままなら、私はこの街を炎で包む。
」
人々は震え上がりましたが、どうすればいいかわかりません。
すると、イサベルが一歩前へ出て、静かに言いました。
「竜よ、あなたの怒りを鎮める方法はあるの?
」
竜は目を光らせて言いました。
「私を喜ばせることができたなら、この街を守ろう。
」
イサベルはしばらく考え、そっと足を踏み鳴らしました。
そして、美しく情熱的な踊りを始めたのです。
彼女の足が地面を叩くたびに、小さな砂ぼこりが舞い、まるで大地が息を吹き返したようでした。
腕をしなやかに動かすと、まるで風が吹き抜けるようでした。
竜はじっとその踊りを見つめ、やがて目を細めました。
「お前の踊りは、まるで自然の美しさを映し出しているようだ…。
」竜は静かに言いました。
「人間が自然とともに生きることを忘れなければ、私は街を襲わない。
」
イサベルは微笑みながら答えました。
「それなら、私たちは自然を大切にし、あなたが怒らないように努力するわ。
」
すると、竜はゆっくりとうなずき、翼を広げて空へ舞い上がりました。
そして街の人々は、この出来事を忘れず、森を守り、川をきれいにするようになりました。
それからというもの、イサベルは毎年、広場で踊りました。
彼女の踊りは街に平和をもたらし、竜もまた、遠くの山から静かに街を見守り続けたのです。
おしまい。
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