「金色の鳥」(Zlati ptica)-スロベニア
昔々、スロベニアの山あいにある小さな村に、貧しい農夫とその妻が住んでいました。二人には一人息子がいましたが、毎日の暮らしはとても厳しく、食べ物さえ満足に得られない日々が続いていました。
ある日、農夫は山で薪を集めていると、急に目の前に金色の鳥が飛び出してきました。その羽は太陽の光を受けて輝き、まるで魔法のように美しいものでした。
金色の鳥は農夫に向かって話しかけました。
「もし私を捕まえたなら、貴方の家に幸せをもたらすことを約束しましょう。しかし、どうか私を捕らえないでください。」
農夫は驚きましたが、金色の鳥の美しさに魅了され、心の中で願いました。
「もし、この鳥が私のものになれば、家族に豊かさと幸せをもたらしてくれるだろうか?」
その思いに駆られた農夫は、金色の鳥を捕まえることを決意しました。しかし、鳥はとても速く飛び、農夫が手を伸ばしてもすぐに逃げてしまいました。
何度も追いかけるうちに、金色の鳥が言いました。
「もし私を捕まえることができれば、あなたにはどんな願いでも叶えてあげましょう。しかし、捕まえるのはただ一度だけです。」
農夫はその言葉を聞き、再び挑戦しました。ついに、鳥を捕まえたとき、農夫はその羽を優しく握りしめ、言いました。
「どうか、私たちの家に豊かさをもたらしてほしい。家族が幸せに暮らせるように。」
金色の鳥はしばらく静かに見つめた後、こう言いました。
「あなたの願いを叶えましょう。しかし、決して私を飼ってはなりません。私を解放して初めて、あなたは本当の幸せを手に入れるのです。」
農夫は鳥の言葉に驚きましたが、その通りに従い、金色の鳥を空に放しました。鳥は空高く飛び、すぐに雲の中に消えていきました。
次の日から、農夫の家に奇跡が起こり始めました。田畑は豊かに実り、家畜は元気に育ち、村人たちは次々と幸せを感じました。農夫とその家族も、心から感謝し、鳥の教えを胸に刻みました。
やがて農夫は、金色の鳥が再び現れることを待ち望みましたが、その後、鳥は二度と姿を現しませんでした。けれども、農夫はその後、家族とともに平穏で幸せな日々を送りました。
そして、村の人々はこう語り伝えました。
「金色の鳥がもたらしたのは、ただの豊かさではない。真の幸せは、欲を抑え、他者と分かち合い、心を大切にすることから来るのだ。」
おしまい。
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