「銀の皿とりんご」(The Silver Saucer and the Rolling Apple)-ロシア
他言語版
昔々、ロシアの広い森の中に、アレクセイという若者が住んでいました。
アレクセイはとても誠実で、親切な心を持っていて、村の人びとから愛されていました。
ある日、彼は山のふもとで不思議な光を見つけました。
それはまるで銀色に輝く皿が空に浮かんでいるようでした。
好奇心に駆られたアレクセイは、その光の元へと足を運びました。
すると、そこには大きな銀の皿が地面に置かれていて、その上に小さなりんごが乗っていました。
アレクセイはりんごを取ろうと手を伸ばしましたが、突然、りんごが皿から転がり落ちて、まるで生きているかのように転がり始めました。
驚いたアレクセイは、すぐにそのりんごを追いかけました。
りんごはどんどん転がって、まるで自分で走っているかのように山道を駆け上がっていきます。
アレクセイは必死に追いかけましたが、りんごはどんどん速く転がり、アレクセイを引き離していきました。
やがて、りんごは山の頂上に到達し、その先に広がる美しい庭園の中に消えていきました。
アレクセイはその庭園に足を踏み入れると、そこには大きな池と、色とりどりの花が咲き乱れる美しい場所が広がっていました。
池のほとりには、水の精のような美しい女性が立っていました。
彼女はアレクセイに微笑みかけ、優しく言いました。
「あなたがりんごを追いかけてくるとは思いませんでした。
あなたには特別な力があるのですね。
」
アレクセイは驚いて答えました。
「私はただ、転がるりんごを追いかけただけです。
ですが、この場所がどこなのか、そして、なぜりんごが私を導いたのか、全く分かりません。
」
水の精は優しく言いました。
「この庭園は、銀の皿とりんごが導く者だけが入れる場所です。
あなたのように純粋で誠実な心を持った者だけが、この美しい場所を見ることができるのです。
」
アレクセイはその言葉を聞いて、心が温かくなるのを感じました。
水の精は続けて言いました。
「あなたにはこれから大きな試練が待っていますが、それを乗り越えることで、あなたの望みが叶うでしょう。
」そして、水の精はアレクセイに銀の皿と、もう一度りんごを手渡しました。
「これを大切に持って帰りなさい。
試練が訪れたとき、この皿とりんごがあなたを助けるでしょう。
」水の精はにっこり笑いながら言いました。
アレクセイはそれらを大切に持ち帰り、村に戻りました。
しばらくして、村に大きな災難が訪れました。
悪しき魔物が村を襲い、人びとを困らせていたのです。
アレクセイは恐れず、銀の皿とりんごを取り出しました。
すると、りんごが輝き出し、魔物の力を吸い取っていきました。
悪しき魔物は次第に弱り、ついには村から追い払われました。
村の人びとはアレクセイを英雄として讃えました。
そして、アレクセイはその後も村を守り続け、銀の皿とりんごは彼の手助けをしてくれました。
彼の心の優しさと誠実さが、すべての試練を乗り越える力となったのです。
それからというもの、アレクセイはどんな困難にも立ち向かう勇気を持ち続け、村の人びとに愛されながら、幸せに暮らしました。
そして、銀の皿とりんごは、彼の心の中でいつまでも輝き続けました。
おしまい。
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