「銀の馬」(The Silver Horse)-スウェーデン
昔々、スウェーデンのある村に、エリックという貧しい若者が住んでいました。
エリックは心優しく、誰にでも親切でしたが、仕事がなく、毎日食べるものにも困るほどでした。
ある日、彼は森で倒れそうになっている白髪の老人を見つけました。
エリックはすぐに老人を助け、自分の持っていた最後のパンを分けてあげました。
老人はにっこり笑い、「お前は親切な若者だな。
お礼にこれをあげよう」と言って、小さな銀の馬を手渡しました。
「この馬は特別な力を持っている。
大切にするがよい」と言うと、老人はふっと消えてしまいました。
エリックは驚きながらも銀の馬を持ち帰りました。
その夜、銀の馬に触れると、不思議なことが起こりました。
馬は突然輝き始め、エリックを背に乗せると、空を駆けてどこかへ飛び立ったのです。
馬はエリックを遠い王国の城の前に降ろしました。
そこでは王が悩んでいました。
王の娘である王女が魔法にかけられ、目を覚まさなくなってしまったのです。
国中の賢者や医者が試しましたが、誰も王女を目覚めさせることができませんでした。
エリックは王に銀の馬の力を試してみたいと申し出ました。
王は困り果てていたので、それを許しました。
エリックがそっと銀の馬を王女の枕元に置くと、馬は光を放ち始めました。
すると、王女の目がゆっくりと開き、優しく微笑んだのです。
王は大喜びし、「お前こそわが娘の命の恩人だ。
何でも望みを叶えよう」と言いました。
しかし、エリックは「私は何も望みません。
ただ、この馬を与えてくれた老人にもう一度会いたいだけです」と答えました。
そのとき、銀の馬が再び光り輝き、空へ舞い上がりました。
そして、エリックの前にあの老人が現れました。
老人は言いました。
「お前の心の清らかさは、本物の宝だ。
だからこそ、この馬はお前を選んだのだ。
さあ、お前の道を進むがよい。
」
エリックは王の申し出を受け、王女と結婚し、王国で幸せに暮らしました。
しかし、彼は決して銀の馬を忘れず、毎晩星を見上げては、老人の言葉を思い出していました。
おしまい。
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