「雪のライオンと小さな男の子」(The Snow Lion and the Little Boy)-チベット
昔々、チベットの雪に覆われた山々に、雪のライオンが住んでいました。
このライオンは、他のライオンたちとは少し違って、雪のように真っ白で、冬の間、山の中でひっそりと暮らしていました。
彼の名前はシャン。
シャンは非常に力強く、どんな困難にも立ち向かう勇気を持っていましたが、心はとても優しく、誰にも優しく接していました。
ある冬の日、小さな男の子が村の外れの山のふもとで迷子になってしまいました。
その男の子の名前はテン。
テンは家から遠くまで遊びに出かけたものの、帰り道がわからなくなり、雪に埋もれた山の中で一人になってしまいました。
寒さが厳しく、テンは恐怖を感じながら、どうしたら家に帰れるのかを考えました。
その時、遠くの雪の中から、大きな足音が近づいてきました。
テンはびっくりして振り返ると、そこにはシャン、雪のライオンが現れました。
シャンは大きな体を揺らしながら、ゆっくりと歩いてきました。
テンは驚きと恐れで体が震えましたが、シャンは優しく言いました。
「怖がらなくてもいいよ。
私は君を傷つけたりしない。
君が迷子だと知って、助けに来たんだ。
」
テンは少し安心し、シャンを見上げました。
「本当に助けてくれるのですか?
」テンは涙をこらえながら尋ねました。
「もちろん。
」シャンはにっこりと笑って答えました。
「でも、君が無事に家に帰るためには、いくつかの試練を乗り越えなければならない。
」
シャンはテンに雪の山を越える方法を教えてくれることになりました。
まず、シャンは大きな足で雪の中に道を作り始めました。
シャンの足は強く、雪をしっかりと踏みしめて、滑らかな道を作り出しました。
テンはその後ろを歩きながら、シャンがどんなに力強い存在かを感じました。
「でも、シャンさん、私はどうしても冷たさが耐えられません。
」テンは寒さに震えながら言いました。
「足元が滑って、うまく歩けないんです。
」
シャンはすぐに立ち止まり、テンのために雪の上に温かい場所を作ってあげました。
「ここで少し休んで、寒さをしのぎなさい。
」シャンの大きな体からは、ほんのりと温かい空気が伝わってきました。
テンはシャンの優しさに心が温かくなり、少し元気を取り戻しました。
「ありがとう、シャンさん。
」
その後、二人はさらに進みました。
途中で、雪に埋もれた小道を見つけましたが、シャンはそれをすぐに掘り出してくれました。
テンはその度にシャンの力強さと、優しさに驚きました。
やがて、二人は山の頂上近くにたどり着きました。
そこから見下ろすと、テンの家が小さく見えました。
テンは目を輝かせながら言いました。
「シャンさん、家が見えます!
私の家が見えます!
」
シャンは微笑んで言いました。
「君が無事に家に帰れるように、私はここまで導いた。
あとは君自身の力で、家まで歩いて行けるはずだ。
」
テンはシャンにお礼を言い、元気よく家に向かって歩き始めました。
その時、シャンが最後に言いました。
「君がどんな困難に出会っても、決してあきらめてはいけないよ。
心の中に勇気を持って、進み続けなさい。
」
テンはその言葉を胸に、家へと向かいました。
家に着いたとき、両親はとても心配していましたが、無事に帰ってきたテンを見て、心から喜びました。
その夜、テンは空を見上げました。
雪の中に、シャンの姿を見つけました。
シャンは月光の下で、静かに山を歩いているように見えました。
「ありがとう、シャンさん。
」テンは心の中でそう言いました。
シャンは今、どこかで温かな場所にいるのだろうと思いました。
そして、テンは勇気を持って生きることの大切さを学びました。
シャンが教えてくれたように、どんな困難に直面しても、恐れずに前に進み続けることが大切だと感じました。
おしまい。
シェア