「願いの机」(Desk of Wishes)- インド
昔々、インドの静かな村に、アラビという若者が住んでいました。
アラビはとても貧しく、毎日畑で働きながら、いつも家族を養うことに精一杯でした。
それでも、彼は決して不満を言わず、毎日を精一杯生きていました。
そんなアラビには、小さな夢がありました。
それは、大きな家を建て、家族みんなが幸せに暮らせるようにすることでした。
ある日、アラビが森で木の実を拾っていると、不思議な老人に出会いました。
老人は白い髭を生やし、優しい目をしていました。
「若者よ、君は心から他人を思いやる優しさを持っているな。
だから、私は君に特別な贈り物をしよう。
」老人はにっこりと微笑み、アラビに一つの木製の机を渡しました。
「この机は、君の願いを叶える力を持っている。
ただし、注意して使うことだ。
」老人は言いました。
アラビは驚きながらも、その机を受け取り、家に持ち帰りました。
家に帰ると、机はとても美しく、木の香りが部屋を満たしていました。
机には一枚の紙と一本のペンが添えてありました。
その紙には「心からの願いを書きなさい」と書かれていました。
アラビはしばらく考えました。
そして、自分の夢を叶えるために、こう書きました。
「私は、家族と一緒に幸せに暮らせるように、大きな家を建てることができますように。
」
すると、机の上で金色の光が一瞬輝き、その後、静かになりました。
アラビは何も変わったことに気づかず、そのまま眠りにつきました。
翌朝、アラビが目を覚ますと、驚いたことに、家の前に大きな家が建っているではありませんか!
その家は、アラビが書いた通り、家族全員がゆったりと暮らせる広さと美しさを持っていました。
アラビは興奮して家族を呼び、みんなでその家の中に入ってみました。
「これは一体どういうことだろう?
」アラビは自分の目を疑いました。
机が本当に彼の願いを叶えてくれたのです。
しかし、アラビは次第に気づきました。
家は大きくなったものの、それに伴って村人たちからの期待も高まり、アラビは忙しくなり、家族との時間が少なくなってしまいました。
彼はそのことに不安を感じ、再び机に向かいました。
「私は、家族との時間をもっと大切にできるようになりますように。
」アラビは願いを書きました。
机が再び光を放ち、今度はアラビのもとに魔法の小道が現れました。
それは、家の外からどこへでも通じる道で、どこへでも瞬時に行けるようになっていました。
これにより、アラビは村の人びとと仕事をしている間でも、家族と過ごす時間を持つことができるようになったのです。
アラビは学びました。
物質的な願いがかなったとしても、心の平穏や家族との時間こそが本当の幸せであることを。
それからは、彼は毎日机を使って、家族と一緒に過ごす時間を大切にし、他の村人たちとも助け合いながら、幸せに暮らしました。
そして、アラビは再び机に手をかけ、最後にこう書きました。
「私は、みんなが幸せに暮らせる世界になりますように。
」
その後、村はますます豊かになり、みんなが互いに助け合い、心温まる日々が続きました。
アラビの願い通り、村は一つになり、幸せに満ちた場所となったのです。
そして、アラビは気づきました。
机の力は、彼が心から願い、他者を思いやる気持ちを持ってこそ、真の力を発揮するのだということを。
おしまい。
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