「黄金のリンゴの木と9つの孔雀」(The Golden Apple Tree and the Nine Peahens)-ギリシャ
昔々、ギリシャのとある美しい村に、貧しいけれど心優しい若者、アレクサンドロスという男が住んでいました。
彼は村の周りの森で木を切ったり、畑を耕したりして生計を立てていました。
しかし、どんなに一生懸命働いても、生活は決して楽ではありませんでした。
ある日、アレクサンドロスは村の近くの森で、ひときわ大きな木を見つけました。
その木は他の木とは違い、枝に黄金色のリンゴが実っているのが見えました。
それはまるで夢のように美しく、見るだけで心が躍るような輝きがありました。
アレクサンドロスはその木に近づき、リンゴをひとつ取ってみることにしました。
その瞬間、木の下に隠れていた9羽の美しい孔雀が飛び立ちました。
孔雀たちは羽を広げて空を舞い、きらきらと輝く黄金色の羽根がまるで太陽のように輝いていました。
「あなたがリンゴを取るとはどういうことだ!
」と、孔雀たちのリーダーが声を上げました。
「この木は私たちの木です。
黄金のリンゴを取った者には、罰を与えなければならないのです。
」
アレクサンドロスは驚きましたが、冷静に言いました。
「すみません、私はただ、空腹でリンゴを食べようと思っただけです。
この木があなたたちのものであるとは知りませんでした。
」
リーダーの孔雀はしばらく黙って考えた後、アレクサンドロスに言いました。
「あなたが心から反省しているのなら、ひとつの試練を与えよう。
この木を守るためには、あなたの心に隠された優しさを証明する必要があるのだ。
3つの試練をクリアした者だけが、この木の果実を得ることができる。
」
アレクサンドロスは勇気を振り絞って答えました。
「私は試練に挑みます。
もしこれで許されるのであれば、何でもします。
」
孔雀たちは羽を広げて、空に舞い上がりながら言いました。
「第一の試練は、あなたの隣人を助けることだ。
今すぐ、村の近くで困っている者がいないか探しなさい。
」
アレクサンドロスはすぐに村に戻り、道を歩いていると、道端で年老いた女性が重い荷物を運んでいるのを見かけました。
彼は迷わずその荷物を持ち、家まで送り届けました。
女性は感謝の気持ちを込めて微笑み、アレクサンドロスに言いました。
「あなたのような優しい心を持った人が、世界を明るくするのですね。
」
孔雀たちは空からその様子を見ており、次に言いました。
「第二の試練は、与えられたものを惜しまずに分け与えることだ。
今、村に飢えている者がいるはずだ。
あなたの手にあるすべてを分け与えなさい。
」
アレクサンドロスはその言葉に従い、自分が持っていた食べ物をすべて村の人びとに分け与えました。
人びとは喜んで食べ、感謝の言葉を口にしました。
アレクサンドロスは笑顔で言いました。
「これができることが私の幸せです。
」
そして最後の試練、孔雀たちは言いました。
「第三の試練は、あなたが本当に心から他者を思うことができるかどうか、確かめることだ。
村の中で一番困っている者に、あなたの命を捧げて助ける覚悟があるか?
」
アレクサンドロスは少し考え、村の外れに住む病気の父親を持つ女性を思い出しました。
その女性は、父親の病気を治すために必死に働いていましたが、どうしても治療費が足りませんでした。
アレクサンドロスは自分が持っていたお金をすべてその女性に渡し、言いました。
「これでお父さんを治療するお金ができるはずです。
どうかお幸せに。
」
孔雀たちはその行動を見守っていました。
そして、リーダーの孔雀が言いました。
「お前は本当に素晴らしい心を持っている。
試練をすべてクリアしたお前には、この黄金のリンゴを与えよう。
」
その瞬間、アレクサンドロスの手のひらに、再び黄金のリンゴが現れました。
孔雀たちは翼を広げ、空に舞い上がりながら言いました。
「あなたは心から他者を助けることができる真の勇者だ。
この木とリンゴは、今後あなたの手に渡るだろう。
」
アレクサンドロスはそのリンゴを持ち、村に戻りました。
そのリンゴは、村を豊かにし、人びとの心をつなげる力を持っていました。
アレクサンドロスはこれからも、人びとを助け続けることを誓い、村はますます幸せに包まれていきました。
おしまい。
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