「黒い魔女と白い魔女」(The black witch and the white witch)- イタリア
昔々、イタリアの美しい山々に、二人の魔女が住んでいました。
ひとりは「黒い魔女」と呼ばれ、もうひとりは「白い魔女」と呼ばれていました。
彼女たちは全く異なる性格と力を持っており、どちらも村人たちにとっては伝説的な存在でした。
黒い魔女は、暗闇と恐怖を操る力を持ち、冷酷で孤独な存在でした。
彼女の住まいは、霧深い森の奥にあり、誰も近づこうとはしませんでした。
黒い魔女は、いつも黒いローブをまとい、眼光鋭く、近づく者を一瞬で凍りつかせるような力を持っていました。
彼女が放つ呪文は恐ろしいもので、いったんかけられた者は二度とその呪縛から逃れることができませんでした。
一方、白い魔女は、光と希望の力を持っていました。
彼女は山の頂にある美しい城に住んでおり、そこに集まるすべてのものを癒し、守る力を持っていました。
白い魔女は、純白のドレスを着て、常に笑顔を絶やすことはありませんでした。
彼女の魔法は、花を咲かせ、病気を治し、心を温める力がありました。
ある日、村に恐ろしい災厄が襲いかかりました。
農作物が一夜にして枯れ、動物たちは次々と死に、村人たちは飢えと恐怖に悩まされていました。
村人たちは、この災厄が黒い魔女の仕業だと恐れ、白い魔女に助けを求めました。
白い魔女は、村人たちを助けるために立ち上がり、黒い魔女に会いに行く決意を固めました。
彼女は山を越え、森の奥深くに住む黒い魔女のもとへと向かいました。
白い魔女が黒い魔女の家に到着すると、暗闇に包まれたその場所にひときわ強い光が差し込みました。
黒い魔女は冷たい目で白い魔女を見つめ、言いました。
「お前、また来たのか。
何の用だ?
」
白い魔女は静かに答えました。
「村に災厄が訪れました。
私たちの力を合わせて、この災厄を終わらせることができるかもしれません。
」
黒い魔女は笑いました。
その声は低く、怖ろしい響きがありました。
「私は災厄を作ったわけではない。
だが、もしお前が私に立ち向かうなら、私は容赦しない。
」
白い魔女は無言で黒い魔女の目を見つめました。
彼女は争いを望んではいませんでしたが、このままでは村が滅んでしまうことを知っていました。
白い魔女は心の中で決意し、穏やかな声で言いました。
「私たちが力を合わせれば、どんな闇も光に変えられるはずです。
あなたの力が必要です。
」
黒い魔女は白い魔女の真剣な眼差しを見つめ、少しの間沈黙が続きました。
しかし、やがて黒い魔女は言いました。
「お前の願いは理解した。
しかし、私はただの魔女ではない。
私の力には代償がある。
私と共に力を合わせるということは、お前もその代償を受け入れることを意味する。
」
白い魔女は深呼吸をし、静かに答えました。
「私は準備ができています。
」
黒い魔女は頷き、そして二人の魔女は力を合わせて呪文を唱え始めました。
白い魔女は光を放ち、黒い魔女は暗闇を操りました。
二つの力が融合すると、驚くべきことが起こりました。
山々の中に大きな光の柱が立ち、村の周りの土地が一瞬で癒され、枯れた作物は再び緑に生い茂り、死んだ動物たちも蘇りました。
村人たちはその光景に驚き、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
しかし、黒い魔女は力を使い果たし、少し疲れた様子で言いました。
「これで終わりだ。
私は何も望まない。
だが、お前は約束した代償を受け入れろ。
」
白い魔女は穏やかな微笑みを浮かべ、黒い魔女に答えました。
「代償とは何か、私は知っている。
それがどんなものであれ、私たちが助け合ったことには意味がある。
」
黒い魔女はその言葉に少し驚いたような表情を浮かべました。
しばらく黙っていた後、彼女は「良いだろう」と言い、再び森の中に消えていきました。
それから村は元気を取り戻し、人びとは感謝の気持ちで白い魔女を迎え入れました。
そして、白い魔女と黒い魔女はそれぞれの道を歩みました。
黒い魔女は再び暗闇の中に戻り、白い魔女は光の中で村を守り続けました。
そして、二人の魔女は今でも互いに対立することなく、それぞれが持つ力を生かして、世界を見守っていると言われています。
おしまい。
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