マカオの迷信
マカオのカジノ経営者たちは風水や迷信を非常に重視しており、建物の設計や内装にそれらの要素をふんだんに取り入れています。運や財運を左右するものとして、風水は単なる飾りではなく、ビジネスの成功を左右する重要な戦略と考えられているのです。
まず、カジノの入り口は特に重要視されます。風水では「気(エネルギー)」の流れが建物の運を決めるとされており、良い気を呼び込み、悪い気を逃がさないよう、入り口の向きや形状、さらには周囲の地形や道路の配置に至るまで綿密に設計されます。例えば、湾曲した道に面していたり、正面に水の要素(噴水や池)があるのは、「財を引き込む」とされる吉兆です。
また、内部のレイアウトにも風水は大きく影響しています。カジノフロアは、迷路のような構造になっていることが多いですが、これは「客が出口を見失い、長く滞在し、結果としてお金を落とす」という風水的な発想から来ています。一部のカジノでは、天井に金色の龍が描かれていたり、鏡や反射素材が多用されていたりしますが、これも財運やエネルギーを「循環」させる意図があります。
数字に関する配慮も細かいです。先ほど述べたように「8」は非常に好まれる数字で、VIPルームやスイートの部屋番号に使われることが多い一方で、「4」は避けられています。エレベーターのパネルからも4階が省かれていることが多く、代わりに「3A」や「F」などが用いられています。
面白いのは、カジノ内の色使いや素材選びにも風水的配慮があることです。赤や金は「富」と「幸運」を象徴する色として好まれ、カーペット、椅子、壁紙などのあらゆる場所に用いられます。また、風水では水が「財」を意味するため、カジノ内に水槽や水の流れる演出を施している例もあります。
有名な例としては、マカオのウィン、マカオ(Wynn Macau)では、正面玄関に設置された巨大な風水池や、内部の「黄金の木」など、風水アイテムが意図的に設計に取り入れられており、「訪れた瞬間から金運を高める」という思想に基づいています。MGMマカオでは、館内中央にあるアクアリウム(巨大水槽)も、風水的に「財が集まる場所」とされています。
マカオのカジノ経営者たちは、ただのビジネスとしてではなく「運」や「気」を非常に重視しており、風水や伝統的な迷信を徹底的に取り入れて設計を行っています。その背景には、マカオの主な顧客層である中国本土からの富裕層が風水を非常に信じているという点も関係しています。
たとえば、建物の入り口の位置や向きは特に重要視されます。風水では、良い「気(氣)」がスムーズに入ってくるようにするために、正面玄関の配置が重要とされており、カジノの入口は通りからの「気」を最大限取り込めるような角度に設計されることが多いです。
また、エスカレーターや階段の配置にも工夫が見られます。例えば、カジノフロアへの入り口に下りのエスカレーターを設けない場合が多いのは、「運が下がる」ことを避けるためです。逆に、上昇する方向の動線があることで「運気も上がる」とされます。
水の要素も非常に大切です。水は風水において「財運」を象徴するため、カジノのロビーやエントランスに噴水や水槽を設置することが多く見られます。特に流れる水は「絶えずお金が流れ込む」ことを意味するとされ、噴水の形や水の流れの向きまで風水師によって綿密に決められます。
内装や装飾に使う色や形にも意味があります。赤や金は運気を上げ、繁栄を象徴するため、内装やディーラーユニフォームなどに多用されます。一方で黒や暗い色、尖った形状のインテリアは避けられがちです。尖った形は「煞気(さつき)」、つまり悪い気を発するとされているからです。
数字の扱いも極めて慎重です。「4」は避け、「8」や「9」など縁起のいい数字が好まれます。部屋番号や階数、テーブル番号までこの考え方が反映されています。ある有名カジノでは、最上階を「88階」と表記していたほどです(実際にはそこまでの階数はないが、縁起担ぎとして演出されている)。
さらに、風水師(ジオマンシーの専門家)を専属で雇うケースも珍しくありません。設計段階から施工、さらには営業開始後の運営に至るまで、継続的にアドバイスを受けているところもあります。カジノの成否は「運」が大きく関わるという信念のもと、風水的な配慮は単なる迷信ではなく、経営戦略の一環として真剣に取り入れられています。
つまり、マカオのカジノはただ豪華なだけでなく、すべての構造や装飾に“運”や“繁栄”を意識した思想が根付いており、そこには風水という古代からの知恵と、現代のビジネス戦略が巧みに融合しているのです。
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